宗教の勧誘に付いていくとどうなるの? 「誠成公倫」編

■誠成公倫
出席形態:お声掛け、若手信者との座談会
参加時間:3時間くらい
取得物:とくになし


会社の同期が、コンパで知り合った女の子から勧誘を受けていて対応に困っているというので、面白そうだから連れて行ってくれと頼んで参加しました。
僕は知りませんでしたが、後からネットで結構有名どころの団体のようで、確かに行った会場もかなりの広さでした。広さも天井の高さも小学校の体育館くらいかな。
集会は二部構成で、第一部の講義的なものと、第二部のお声掛け(教団幹部が、予め募集した一般信者の悩みに公開で回答する講義みたいなもの)があるそうです。その後、信者たちの自主的な座談会もあるとか。僕は第二部のみ参加しました。


会場はかなり広いにも拘らず、人の体温が籠って暑いほどの人数の信者が集まって座っていました。大半、8割くらい?は女性で、みんな小奇麗な恰好をしていました。休日にも拘らず、男性は皆スーツです。どうも、「あの団体の人たちはしっかりしている」と地域に人たちに思ってもらうためにそういう指導がなされているそうです(これは他の宗教も見習うべき良く出来たポリシーだと思います)。会場への入退出は基本自由のようで、僕たちもお声掛けが始まってちょっとしてから入ったし、講義中も人が出たり入ったりしていました。


集会の途中、僕は勧誘主の女の子に促されて若手の信者が集まる座談会に連行されました。勧誘主のほかに3人の二十代の信者が車座になって僕を待っていました。
話の内容は、信者の人がこの組織に入ることになったきっかけと参加しているメリットで、僕がまさに訊きたいところだったので、ノリノリで話を聞いて質問をしました。


詳細は省きますが、話をしてくれた二人のうちの一人がそこへ来るようになったきっかけは、大学入学後すぐに痛風に罹り、苦しんだことだったそうです。母の友人に誘われて集会に毎日来るようになって、一週間で快復したのだとか。
もうひと方は大学受験時に顔面麻痺になって、毎日病院へ通う帰りに母の勧めで集会に参加したところ、回復まで通常は半年から一年かかるのと医者に言われていたのに一ヶ月でよくなったとか。


勧誘主の子も、話をしてくれた二人もそうだったのだけど、信者の方が教団について説明する際にそろって強調することがありました。
それは「この団体は宗教団体ではない」ということです。
曰く、「あまりに人が集まってきたのでお役所から言われて宗教法人の登録をしたけれども、元々は法主様(=教祖。八島さんという、今も存命するお爺さん。)が自らの人生経験から導き出した”幸せになる方法”を他の人にも教えてあげようという趣旨で作った研究会のようなもの」だそうです。


みなさんが口を揃えて言っていたので信者の方々の意識は本当にそうなのでしょう。とはいえ、集会での信者さんたちと指導者の方のやり取りを見ていると、信仰というファクターを噛ませないと教団が信者を幸せにする原理を説明できない部分がいろいろありました。


僕が集会で聞いたQ&Aで、特徴的だと感じたものを3つ紹介します。(メモを取るのがはばかられたので記憶を頼りに後から書いたもの)



1:以前原因不明の体調不良だったが最近治ってきたという信者Aさんに対する先生の回答
「Aさんはよくお座りになっている(=集会に来ている)し、何度もお声がけ(先生から質問の回答をもらうこと)を受けましたね。だいぶ浄化が進んでいるのだと思いますよ。そのままの調子で活動を続けてくださいね。」

2:足の裏が痛いという信者Bへの先生の回答
「足の裏というのは、自信が出ます。自信がなくなっているのでは?積極的に教団の活動を頑張ってください。自ら買って出て座談会の司会をしたり、歌唱劇(教団主催の宝塚的大規模イベント)に応募したりして、自信を高めてください。」

3:以前転職すべきであるという反応(=お告げ)を受けた信者Cさんが上司に退職を慰留されているという相談に対する先生の回答
「お前なんか要らないからすぐやめろ、やめてくれてありがたい、と言われるよりはその方がいいですよね。あなたが他の所へ行っても活躍できるというしるしだと思います。ところで、反応が出たらすぐさま実行に移してください。自分で考えたりしないでください。以前、法主様(=教祖。高齢だけど存命。)からご縁の紹介(結婚相手の指名)が出たにも拘らず断った女性がいて、その女性はその後長らく結婚できず、挙句にどうしょうもない男と結婚しました。反応はすぐ実行に移さないとよくないことになりますよ。」


1で出てくる「浄化」というのはこの団体でのキーワードのようで、ほかの応答でもよく出てきました。座談会で入信のきっかけを話してくれた二人も、この浄化で良くなったのだそうです。しかし、「浄化とは何なのか」と尋ねたところ、よくわからないとのことでした。よくよく話を聞いてみると、この団体の思想では、ある病気とある気分・精神はセットになっているらしく、悪い気分を集会で解消することにより、病気が治ると考えられているらしいです。「浄化」という語感的にも、その作用の仕方としても、宗教的治病にしか見えませんが…信者の方たちはどうしてこれが宗教じゃないと言い切れるのか不思議です。

2の「足に自信が現れる」という原理はよくわかりません。が、まあ、東洋医学も原理はよく分らないけど効果があるわけで、このあたりは信仰とは言い切れないのかも。

3は、「信じているなら言う通りにしろ」という回答に見えます。体調不良とか進路の悩みとかの相談で今までも教えの通りにしてきた人なら受け入れられると思いますが、部外者から見ると、合理的説明の乏しい啓示的命令に見えます。啓示というか、ちょっと脅迫っぽいですが(笑)。「浄化」の件もそうですが、こういった指導を違和感なしに受け入れて「この団体は宗教ではない」と言えるとすれば、ちょっと自分たちを客観視できてないんじゃないの?と思ってしまいますね。僕は心惹かれませんでした。
まあ他の宗教でも同じですが、病気とか災難とかに見舞われて正常な批判精神が機能していないときに集会に参加して、たまたま病気が快癒したりした場合は惹かれるかもしれませんが。
そういえばモルモンの人とのやり取りにも、信仰と信仰に基づく行動のどっちが先に立っているのかわからないような例がありました。人間は、批判を置いておいてとりあえず行動さえすれば、思考はあとから都合のよいように情報を補ったりそぎ落としたりして追い付いてくるものなのかも。。。


入信の方法ですが、現信者の人の紹介を受けて、2回集会へ参加すれば、2回目のときに入信手続きができます。大人は入信料\2000+浄化料\3000=\5000が必要です。
入信料は言わば入会金、浄化料は1ヶ月の集会参加パス料金のことです。パスは一ヶ月有効で、その間なら何度来てもOK。三ヶ月来ないと入信料がもう一度かかるとのこと。つまり、三ヶ月放置で自動退会/自動棄教っぽいです。
確かにこの入信システムは宗教というよりも会員制のコミュニティっぽくはあります。


ちなみに、信者にもよるとは思いますが、強引な感じは全然なく、集会場へ入るとき住所氏名も渡しましたが、その後は特に音沙汰無しです。