如何なるか是れ祖師西来の意

http://www.asahi.com/politics/update/1110/TKY200911100459.html

>>  民主党小沢一郎幹事長は10日、和歌山県高野町で記者団に「キリスト教イスラム教も非常に排他的だ。その点仏教は非常に心の広い度量の大きい宗教、哲学だ」と語った。


 いやあ、僕の書籍発売に合わせてこんな発言をしてくれるだなんて、小沢さんは庶民のことを思いやってくれる素晴らしい政治家だなあ。更新ネタに困らなくて幸いです。


 しかしまあ、小沢さんの言わんとするところは多分そんなムチャクチャなことではないかな、と。小沢さんとしては、おそらくアメリカなどのキリスト教的価値基準を根底にした外交スタイルに文句が言いたかったのでしょう。たとえば、こないだ読んだ本ではアメリカ人はこんなことを言ってると書かれていました。

「私たちの国は多様な文化を認めマース」
「デモ、中国のやつらはクソデース」
「あいつら、地域コミュニティに参加せず、親戚同士で固まりやがりマース」
「中国人、ホントにクソデース」

 つまり、アメリカ人が「多様な文化を認める」と言っていても、それはあくまで「オレたちの価値基準」、すなわち「キリスト教的価値基準」で認められる範囲の「多様な文化」でしかないということです。しかも、当のアメリカ人はそれに気付かず、「私たち、ホントに寛容で素晴らしいデース」とうぬぼれていると、その本ではそう指摘されていました。

 そういえば学問の世界でも、昔は「欧米サイコー」って感じだったんですが、

1、欧米の文化サイコー、他の地域はマジ野蛮人
2、何言ってんだよ! 他の地域も見直してやろうぜ!
3、「見直してやろうぜ」って何様だよ、オイ!

 という感じで推移してきたわけです。つまり、「他の文化も見直してやろうぜ!」という態度そのものがまだ「オレたちの文化基準」であり、まだ思い上がっている、と。小沢さんが「キリスト教のやろうどもは排他的で独善的」と言ってるのも、おそらくそんなニュアンスではないかなーと思います。

 が、それはそれとして、「その点仏教は非常に心の広い度量の大きい宗教、哲学だ」「欧米人に仏教の神髄を説いてやるのは非常に意義がある」と言うのもどうかと思いますが。「世の中はキリスト教的価値観だけじゃないですよ」「仏教的価値観も同じ位置においてね」と言うならともかく、これじゃあ単に思い上がりの上塗りでしかない気がするんですけどねー。


 ***

 ところで、「仏教の神髄」を欧米人に説いてやってくれ、ということは、小沢さんは「仏教の神髄」を掴んでいるということなので、もしかして小沢さん……、既に悟ってるんじゃ…………!

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