宗教の勧誘に付いていくとどうなるの? 「モルモン教編」

モルモン教

出席形態:日曜礼拝
参加時間:4時間ほど
取得物:モルモン書

 知り合いが駅で勧誘されたので一緒に行ってみました。礼拝では賛美歌を歌った後に、みんなでお話を聞いて、それから性別やランク(?)(どういう基準で分かれているのか良く分からない)に分かれての会議(?)的なことをします。僕の加わった部会ではモルモンの一番偉い人のビデオ演説をやってました。正直、つまんなかったです。一緒に行った知り合いは女性の部会の方に参加してましたが、そちらでは食糧の備蓄の話とかしてたみたいです(※1)。

 日曜礼拝は全体的に弛緩した雰囲気でだるだるっとした感じで行われます。この辺り、創価学会の座談会が熱気に溢れてたのと比べると対照的で、宗教の集会だからといってどこもかしこも情熱的にやられてるわけではないようです(もちろん、モルモンも地域や教会によって雰囲気は違ってくると思いますが)。

 日曜礼拝に行っても特に引き止められることもなく、そのまま帰ろうと思えば帰れる雰囲気でした。僕は信者の人を捕まえて色々話を聞いてましたが、その最中でもいつでも切り上げられそうな感じだったので、特に強く勧誘されることはなさそうです。お土産に「モルモン書」というモルモン教のオリジナル聖書をもらいました。帰りに電話番号を聞かれて伝えましたが、一度、「また今度来れますか?」と連絡があったっきりで、特にしつこい勧誘などもありません。意外とあっさりしたものです。

 モルモン教徒の人に色々話を聞いてみましたが、「どうして****を信じているんですか?」「信じられるから信じられるのです」という感じで、論理ではなく感情(信仰)で答えてくるので、たぶん普通の人は全く共感できないと思います。

「私たちがホンモノなんです。信じてください」
「あなたがモルモン教をホンモノだと信じていることは分かりました。でも、僕にはそう信じられないんですが、どうすればいいのでしょうか?」
「信じられれば信じられます」

 といった感じ。別にこのやり方が悪いとは言わないけど、これでは人を感化できないんじゃないかなぁ……。正直、説得される余地がない気がします。

 おそらく入信の契機となるのは、モルモン書を読んでそこに何かを「感じた」人だけなのでしょう。この辺りがモルモン教の不思議なところで、こんな狭い入り口だけでどうやってあんなに信者を増やしたのか分かりません。一つには、仕事を辞めて「週休ゼロ日、毎日8時間」無報酬で伝道活動に励むモルモン教徒の熱心さのゆえとは思いますが、とはいえ普通の人には「理解」できず、「感じる」しかない宗教なので、そうそう新規信者は獲得できない気がするんですが……。ホントにどうなってるんだろう……??


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 なお、参考までにその時のモルモン教徒とのやり取りを一部掲載しておきます。

「他の宗教にも色々と自称預言者はいますが、どうしてスミスさん(モルモンの教祖)だけが本物の預言者だと確信できるんですか?」
「それはスミスのところに神が直接降臨したと(モルモン書に)書かれているからです」
「でも、ムハンマドのところにも神が直接来たとコーランに書かれてますよ(正確にはジブリールだけど)」
「誠心誠意、神に祈りを捧げてみて下さい。必ずスミスが本当の預言者であったというお答えを頂けるはずです……」

 うん。誠心誠意、神に祈りを捧げた時点でそれはモルモン教徒だと思うんだ。


「神様に祈ってお答えがあったことはありましたか?」
「はい。私は宣教師(※2)になろうかどうか迷ってたんです。宣教師になるならお金も貯めなきゃいけないし、仕事も辞めなきゃいけないし」
「それで?」
「でも、祈っても答えが来なかったんです。それで、(同じモルモン教徒の)友人から『ただ祈るだけではダメ。ちゃんと行動をしてから祈らないと』って教えてもらって」
「こ、行動ですか……」
「はい、それで仕事を辞めたんです。そうしたら引き継ぎもすんなり済んだし、上司に事情を話したら『がんばってね』って言われて引き止められもしなかったし、すごくスムーズに辞めれたんです。今から思えば、あれが神さまのお答えだったんだな、って」
「そ、そうですか……」

 うん。お答えもなにも、会社を辞めた時点で宣教師になる気満々だったと思うんだ。


※1 食糧の備蓄とか言われると、ブランチ・ダビディアンを想起してビビってしまうけれど、どうも終末に伴う大災害に備えているようです。
※2 上に書いた「仕事を辞めて、無報酬で、自腹で、週休ゼロ日、一日8時間を伝道活動に費やす」活動です。遠い土地に行くこともあるそうで、これを一年とか二年とかやるみたい。信仰の問題なので良し悪しは言いませんが……よくやるよなぁ……。