ものすごく長い三行半

 質問を頂きましたー。

>> 完全教祖マニュアル買いました。
>> 今回のエントリもなかなか興味深く拝見させていただいてます。

 ありがとうございます( ^ω^)


>> ただ、教祖マニュアルの内容なのですが、近づきやすさ-取り込みやすさのグラフ
>> でキルゲゴールが息子と同じぐらい近づきやすいってのはどういう考えから
>> あそこにプロットしたのでしょうか?
>> 特に本文中でも補足が無く、故人に対して近づきやすいってイメージが
>> わかなかったので、是非教えて欲しいのですが。


 ……ハイ。というご質問ですが、すいませんぶっちゃけギャグなんであんまり深く考えてません。キルケゴールが息子くらい近付きやすいってことはないですよねwww

 ただ、イメージ的にはニーチェとの対比で考えています。なので、「接近のしやすさ」というよりは「女にモテたかどうか」という視点が強いです。僕の中でのニーチェのイメージはルー・ザロメにフラれて生涯ションボリしている喪男で、なんだか近付きがたい雰囲気があります(実際は女友達もいましたけど)。それに彼の肖像画を見ても「あわわ、頭痛い。ちょっと待ってくれませんか……」って感じがしませんか。

「あわわわ……」


 一方、キルケゴール爽やかな感じのイケメンで、私生活においても27歳の時に10歳年下のレギーネオルセンを口説いてメロメロにさせてるわけです。しかも、そのレギーネちゃんを一方的にフッてるんです。


 ちなみにレギーネオルセンはこんな感じの子。キュートですね。こんな可愛い子を口説き落として一方的にフッちゃう辺り、かなりモテモテだったんじゃないかなあと思われます。

 いやいや、ですが、しかし、キルケゴール十分にアレな人でして、レギーネちゃんを一方的にフッた後に、「僕がキミをフッた理由は全てここに書いてある。これを読んでくれ」と言って渡したのが「おそれとおののき」。大体どんなことが書かれてるかはここのエントリーに詳しいですが、さらっと見てもらえれば分かるとおり、こんなもん渡されてもレギーネちゃんは困っただけだと思います。僕がレギーネちゃんなら、とりあえず殴りますね。ちなみに僕の学生時代の先生はキルケゴールのこの行動を指して、「こんな形で愛を伝えるなんてキルケゴール本当にロマンチックで素敵ですね!」と仰ってましたが、すいません、それ1ミリも共感できません。

 あと、これは愚痴なんですが、キルケゴールのやろうは本当に読者のことを考えねーやろうで、たとえば彼の著作「死に至る病」には以下の有名な一節があります。

>> 人間は精神である。しかし、精神とは何であるか?
>>  精神とは自己である。しかし、自己とは何であるか?
>>  自己とはひとつの関係、その関係それ自身に関係する
>>  関係である。あるいは、その関係において、その関係
>>  がそれ自身に関係するということ、そのことである。
>>  自己とは関係そのものではなくして、関係がそれ自身
>>  に関係するということなのである。

 どう見ても怪文書です。本当にありがとうございました。まったく、こんなモノを書いたせいで、後世の大学生たちがレポート作成で地獄を見ることをどうして彼は考慮できなかったのでしょうか。猛省して欲しいですね。(ちなみにここのセンテンスの解説を昔書いたのですが、たぶんこれでもまだキツイと思います。久しぶりに読み返してキツかったもん)

 ***

 というわけで、ちょっと話が脱線しましたがまとめますと、

ニーチェ喪男
キルケゴールはイケメンでモテモテ
ニーチェは近付きがたい。話もできなさそう。
キルケゴールとは話はできそう
・でも、キルケゴールの言ってることは多分何一つ理解できない

 という感じであの図は作られたわけですね! ニーチェキルケゴールを宗教勧誘なんて考えただけでげっそりしますよ!

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