「完全教祖マニュアル」vs「宗教社会学入門」

 コメント欄に質問が来ましたー。


>> 大作 2009/11/11 09:46
>> 「ヒップホップで学ぶ日蓮」が面白く、興味が沸いたので
>> 完全教祖マニュアル注文しましたー!楽しみです^^
>> 以前のエントリーにあった橋爪先生の「宗教社会学入門」
>> 合わせて注文しましたが、どちらを先に読むと理解し易いでしょうか?


 お買い上げありがとうございます( ^ω^)


 えー、それで、「宗教社会学入門」と「完全教祖マニュアル」、どちらを先に読めばいいのかという質問ですね。はい、ありがとうございます。実に都合のいい質問ですね(宣伝的な意味で)。

 さて。それでは、まずは両者の特徴を書いておきますが、橋爪先生の「宗教社会学入門」は各宗教についての知識をコンパクトにまとめた本です。つまり、「キリスト教はこういうものです」「仏教はこういうものです」「イスラム教はこういうものです」といった知識を章ごとに分けて分かりやすく教えてくれます。これは学者先生が書いたとは思えない程に平易な本で、大学生なら楽勝、高校生でもたぶん読めるくらいのレベルです。

 一方、僕たちの「完全教祖マニュアル」は、キリスト教とか仏教とかイスラム教とかのエピソードをあっちこっちから引っ張ってきて、そこから「教祖にとって大切な知識」を抽出している本です。個別のたくさんの事例から一定の公式を導き出したものと考えて下さい。

 ですから、先に「宗教社会学入門」を読んで、「個別のたくさんの事例」を体系立てて学んでおくと、「教祖マニュアル」を読みながら「あー、なるほど、***教のあのシーンね」と分かりますし、逆に「教祖マニュアル」を読んで公式を知ってから「宗教社会学入門」を読むと、「ふむふむ、***教のこういうところにはこういう意味があると考えられるな」と読めるわけです。

 なので、どっちを先に読むかは趣味の問題となるわけですが、あえて言うなら「教祖マニュアル」かな……?? 「宗教社会学入門」もすっごく分かりやすい平易な本ですが、「教祖マニュアル」はさらに平易です。もはや軽薄と言っても良いかもしれません。というのも、「教祖マニュアル」は学術書ではなく、あくまで「教養が付く面白よみもの」なのです。その分、「ストレスなく読めること」を最重視しています。なので、全くの初心者はへらへらっと「教祖マニュアル」を読んで軽く体を慣らしてから、「宗教社会学入門」を読むと楽かな、と思います。この2冊だけでも社会に出てから宗教関係は90%まではいけると思いますし。

 ***

 ただ、断っておくと(こういうことはセールス的には書かない方がいいんだろうけど)「教祖マニュアル」と「宗教社会学入門」だけでは、90%まではいけても100%対処はできません。僕たちも橋爪先生も分かりやすさを優先するために細かい問題はかなりざっくりとはしょっています。というのは、こういうのって正確性を期すれば期するほどつまんなくなるんですよ。「***はこうです!」と書きたいのに、「***は大体においてこうであるが、こういう場合もあり、しかし、これには留保が付いてこういうケースに限られ、だが一方で、現実的にはこういうことも見られ、また、こういう異論もある」みたいに書かなければならなくなるのです。そういうのはガチの学者の仕事ですので、90%以上を目指したい人は難しい本を読んで下さい

 ただ、現実問題、世の中の人はそれほど宗教に詳しいわけではないし、それほど興味があるわけでもありません。この2冊だけでもそうそう困らないはずです。あんまり宗教知識のない人が「できるだけ楽して」「そこそこの知識を得たい」と考えるなら、この2冊は費用対効果の高いセレクトだと思っています。

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